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【建設業法】早わかり実務に役立つ;もう一度見直して!得点アップ!

1.建設業法の目的

 建設業法の目的は、建設業法第1条に謳われています。

(建設業法第1条)
この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

 監理技術者制度運用マニュアルの改正(新旧対照表) (出典;国土交通省HP)

2.建設業の許可制度

 建設業の許可は、2業種の「一式工事業」と27業種の「専門工事業」の29業種ごとに分かれています。「一式工事」とは、総合的な企画、指導及び調整のもとに土木工作物又は建築物を建設する工事であり、原則として、大規模又は施工内容が複雑な工事を、元請業者の立場で総合的にマネジメントする事業者向けの許可となります。  「専門工事」を単独で請負う場合には、専門工事業の許可が必要となります。専門工事業の業種は、その内容ごとに複雑ですので、国土交通省「建設工事の種類別の内容、例示及び区分の考え方」一覧(平成29年11月10日版)を参照してください。 □出典;国土交通省HP

 専門工事業を行う場合は、自社で当該、専門工事業許可を持っているか確認が必要になります。一式工事の建設業許可を受けた業者が、他の専門工事を単独で請負う場合は、その専門工事業の建設業許可を受けなければなりません。例えば”ある工事で庭の造園工事のみを依頼された”場合、工事を請負うには造園工事の許可が必要です。建築一式工事の許可を持っていても造園工事だけを請負うことは、できません。

 建設業の許可業種のうち「指定建設業(施工技術の総合性、施工技術の普及状況その他の事情を考慮して政令で定める建設業)」

  1. 土木工事業
  2. 建築工事業
  3. 電気工事業
  4. 管工事業
  5. 鋼構造物工事業
  6. 舗装工事業
  7. 造園工事業   7業種が指定されています。(法15条、令第5条の2)

3.専門(監理/主任)技術者等の配置とその職務

 建設業者(許可を受けて建設業を営む物)は、適正な施工を確保するために一定の資格・経験を有する「主任技術者」又は「監理技術者」を配置し、施工状況を監理・監督しなければなりません。

(1)主任技術者?監理技術者?どっちが必要??

主任技術者;請負金額の大小、元請・下請に関わらず工事現場に配置(法第26条第1項)

監理技術者:発注者から直接請け負った工事の下請工事の合計発注金額が4000万円以上(建築一式;6,000万円以上)の工事現場に配置(法第26条第2項、令第2条)

 許可を受けずに建設業を営む者は、主任技術者の配置義務はないが、何らかの対策は必要です。

 主任技術者又は監理技術者は、工事を請け負った企業と直接的かつ恒常的な雇用関係ある者でなければならない。雇用関係は、資格者証又は健康保険被保険者証等に記載された所属建設業者名及び交付日により確認できることが必要になります。

(2)「専任」が必要な工事(法第26条第3項、令第27条)

 「公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの」「政令で定めるもの」とは(個人住宅を除くほとんどの工事   ※個人住宅とみなされる長屋及び併設住宅も含まれる)で請負金3,500万円(建築一式工事7,000万円)以上の工事では、技術者を専任させる必要があり、原則、兼務は認められません。

 営業所の専任技術者は、工事現場の専任が必要となる場合、技術者を兼務できません。営業所における専任の技術者は、営業所に常勤して専らその職務に従事することが求められています。(特例※あり)例えば、専門工事業者が営業所に配置している専任技術者は、工事現場の主任技術者を主任技術者を兼務することはできません。※許可行政庁(都や県など)が発注者となる工事では、専門工事業者の主任技術者が営業所の専任技術者として配置されていないか、発注者は調べることがあります。実際に下請として届け出た専門工事業者の主任技術者が営業所の専任技術者であると指摘をされる例があります。

 営業所の専任技術者の資格要件  (出典;国土交通省HP)

※特例;当該営業所において請負契約が締結された建設工事であって、工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近傍し、当該営業所との間で常時連絡を取りうる体制にあるもの。

※建設業法上の「営業所」とは

 「営業所」とは建設業に係る営業に実質的に関与(請負契約を常時締結する事務所)する「本店」又は「支店」をいいます。

※「専任」について

 必ずしも工事現場への「常駐」を必要とするものではありませんが、技術研鑽のための研修、講習、試験等への参加、休暇の取得その他合理的な理由で監理技術者等が短期間工事現場を離れることについて①適切な施工ができる体制を確保(必要な資格等を有する代理の技術者の配置、連絡を取りうる体制及び必要に応じて現場に戻りうる体制を確保等)し、②その体制について、発注者や元請、上位の下請等の了解を得ていれば、差し支えありません。

(3)監理技術者の兼務

「監理技術者を補佐するもの(=監理技術者補佐)を工事現場に専任で置くとき」は、監理技術者の兼務が認められます。(2021年度より)

 □出典;国土交通省HP

ただし、兼務できる工事”現場”の数は「2か所まで」とされています。

また、監理技術者を兼務させるときは、必ず発注者に了解を得ましょう。

その他の兼務について

 以下の要件を満たせば、監理技術者は二以上の工事を兼務することができます。

 契約工期の重複する複数の請負契約に係る工事であること

 それぞれの工事の対象となる工作物等に一体性が認められること

(当初の請負契約以外の請負契約が随意契約により締結される場合に限る)

一体性が認められなければ現場間の距離が近くても兼務はできません。例えば、同じ敷地内の少し離れた場所で別の工事を行う場合、監理技術者はこの工事を兼務することはできません。「同じ敷地だから大丈夫」ではないことに注意が必要です。求められている必要な資格要件を満たす技術者が必要で

(4)専門工事の技術者

 専門工事を施工する場合には、当該専門工事業で求められている必要な資格要件を満たす技術者が必要です。必要な資格要件は事前に確認しましょう。

 軽微な工事(500万円未満)であっても、施工す専門工事の許可をもつ業者であれば主任技術者の配置が必要です。

(5)現場代理人とは

現場代理人は、請負契約の的確な履行を確保するため、工事現場の取締りのほか、工事の施工及び契約関係事務に関係する一切の事項を処理するものとして工事現場に置かれる請負者の代理人であり、監理技術者等との密接な連携が適正な施工を確保する上で必要不可欠である。

公共工事では現場代理人が「工事現場に常駐」することが求められています。

「工事現場に常駐」とは当該工事のみを担当していることだけではなく、工事期間中特別の理由がある場合を除き常に工事現場に滞在していることを意味します。

ただし、一定の要件のもと、発注者が認めた場合は、工事現場に常駐しなくても良いとされています。(公共約款第10条3)

民間工事(民間連合約款を使用)では、現場代理人の常駐は求められていませんが、発注者の特記仕様書など常駐を義務付けている場合があるので注意が必要です。

 ※公共約款第10条3

 発注者は、前項の規定に関わらず、現場代理人の工事現場における運営、取締り及び権限の行使に支障がなくかつ、発注者との連絡体制が確保されると認めた場合には、現場代理人について工事現場における常駐を要しないこととすることができる。

4.施工体制台帳・施工体系図

(1)施工体制台帳の整備

 発注者から直接建設工事を請負った建設業者が施工体制台帳の作成等を通じて現場の施工体制を把握する目的で国土交通省令で定める事項を記載したものを建設工事の目的物を引き渡すまで備えおかなければならない。(法24条の7第1項、規則第14条の2、規則第14の7)

施工体制台帳の整備の目的

  1. 品質・工程・安全管理などの施工上のトラブル発生の防止を図る
  2. 不良・不適格業者の参入・建設業法違反(一括下請負等)の防止を図る
  3. 安易な重層下請による生産効率低下等の防止を図る  etc

(2)施工体系図の作成

発注者から直接工事を請け負った建設業者は、全ての公共工事、及び下請代金の合計が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)の工事において、施工体制台帳・施工体系図を作成しなければなりません。

作成の目的

  1. 下請業者を含めた全ての工事関係者が建設工事の施工体制を把握する必要があること
  2. 建設工事の施工に対する責任と工事現場における役割分担を明確にすること
  3. 技術者の適正な配置を徹底すること   etc

5.建設業法令遵守ガイドライン(第7版)ー元請負人と下請負人の下請取引に係る留意点ー

                                                   □出典;国土交通省HP

  • 1.見積条件の提示(建設業法第20条第3項)
  • 2.書面による契約締結 
  •   2.1 当初契約(建設業法第18条、第19条第1項、第19条第3項)
  •   2.2 追加工事等に伴う追加・変更契約 (建設業法第19条第2項、第19条の3)
  •   2.3 工期変更に伴う変更契約  (建設業法第19条第2項、第19条の3)
  • 3.不当に低い請負契約  (建設業法第19条の3)
  • 4.指値発注 (建設業法第18条、第19条第1項、第19条の3、第20条第3項)
  • 5.不当な資材等の購入強制 (建設業法第19条の4)
  • 6.やり直し工事 (建設業法第18条、第19条第1項、第19条の3)
  • 7.赤伝処理 (建設業法第18条、第19条第1項、第19条の3、第20条第3項)
  • 8.工期  (建設業法第19条第2項、第19条の3)
  • 9.支払保留・支払遅延  (建設業法第24条の3、第24条の5)
  • 10.長期手形  (建設業法第24条の5第3項)
  • 11.帳簿の備付け・保存及び営業に関する図書の保存(建設業法第40条の3)

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